市場の概要(2025年) – 2023年は控えめな推移となったスペインの不動産市場ですが、2024年に反発し、2025年に向け引き続き堅調です。ECBの金利低下とインフレの緩和が需要を押し上げました。住宅販売件数は2024年に約64万2000件(前年比+10%)globalpropertyguide.comを記録し、2025年初(1月販売は前年比+11%)のデータでも勢いが続いていますglobalpropertyguide.com。販売件数は全国に広がっており、マドリード(前年比+10.6%)、バレンシア(+9.0%)は大きく伸び、カタルーニャ+8.5%、アンダルシア+6.9%、カナリア諸島+4.6%globalpropertyguide.com。供給は依然としてひっ迫しており、建築許可は増加中(2024年に12.8万件、2025年見込みは13.5万件)ですが、世帯形成数には及ばずcaixabankresearch.com、価格上昇圧力が持続しています。その結果、2024年の全国住宅価格は概ね5~8%上昇cbre.comcaixabankresearch.com、賃料も約11.5%急騰しましたglobalpropertyguide.com。機関予測では引き続き成長が見込まれ、CaixaBankは2025年に約65万件の住宅販売と約5.9%の価格上昇(MIVAU指数)を予測していますcaixabankresearch.comcaixabankresearch.com。Solvia(Idealista)は2025年の販売+3~4%・価格+5%を予想していますidealista.comidealista.com。
住宅セクター – 需要は幅広い層にわたります。2024年はスペイン19地域中18地域で販売件数が増加しましたglobalpropertyguide.com。新築販売は急増し(2024年は23%増globalpropertyguide.com)、2013年以来の高水準となり、中古在庫の不足とデベロッパーの活発な動きを反映しています。ただし新築着工は需要に追い付かず、申請数も大幅減少し、2019年以前の水準には遠く及びませんlucasfox.com。住宅ローンの貸出は回復傾向にあり、新規住宅ローンは2024年に+14.2%増の617億ユーロglobalpropertyguide.comと伸び、Euribor低下に後押しされました。2025年2月の新規住宅ローン金利は平均2.87%(1年前は3.62%)globalpropertyguide.com。この急激な緩和(ECBは2024年末までに金利3%程度まで引き下げcaixabankresearch.com)が購買意欲を刺激しており、CaixaBankは2025年の住宅取引件数を約65万件と見込んでいますcaixabankresearch.com。
地域差も顕著です。マドリードは依然として最も人気が高く、アパート価格はm²あたり約3,000~6,000ユーロ。2024年のマドリード州の販売件数は約10.6%増加しましたglobalpropertyguide.com。バルセロナ/カタルーニャも活発で(販売件数+8.45%増globalpropertyguide.com)、ただし供給は新規用地の制約で限定的。バレンシア州沿岸部(アリカンテ、カステリョン)は2024年全国売上の16.3%を占めましたglobalpropertyguide.com。成長回廊で新規開発も進行中です。アンダルシア/コスタ・デル・ソル(マラガ、カディス等)は販売シェアで全国をリード(全住宅の19.6%globalpropertyguide.com)。手頃なリゾート住宅への国内外需要によるものです。バレアレス諸島は需要の3分の1が外国人で、2024年は販売件数が3.8%減少とやや低調globalpropertyguide.com。カナリア諸島は引き続き欧州人に人気で販売+4.6%でしたglobalpropertyguide.com。
商業用不動産 – 2024年は投資・賃貸需要ともに大きく回復しました。マドリードとバルセロナのオフィスはリース取引が好調。マドリードのオフィス成約面積は2024年で約50万㎡(前年比+40%)cbre.com、バルセロナは2025年に約30万㎡(2024年は28万㎡超、+20%)を見込んでいますcbre.com。オフィス投資は2024年で約15億ユーロ(前年比+25%)cbre.com、中小案件や企業買収によるものです。マドリードの取引は約6億ユーロ、バルセロナは約4.4億ユーロ(前年比+70%)cbre.com。プライムオフィスの利回りはマドリードで約4.85%、バルセロナで約4.95%cbre.comとなり、欧州諸国水準に合わせ今後さらに低下が予想されます。
リテールも勢いを増しています。高級商業地のリーシング成約は2024年に約11%増、主要ロケーションの供給は非常に限られていますcbre.com。このため、主要ショッピングストリートの平均プライム賃料も2024年に約7%上昇しましたcbre.com。ショッピングセンターも人流・売上が回復(売上+4.7%/前年比)、稼働率も4年間で最高水準となっていますcbre.com。投資家の関心も回復し、リテール投資額は2024年に約28億ユーロ(前年比+135%)cbre.com、過去10年平均並みに戻り、リテールは全投資の20%(3番目のアセットクラス)を占めましたcbre.com。
ホテル&観光 – スペインの記録的な観光ブームがホテル需要を押し上げています。2024年は海外から約1億1600万人(前年比+4%)が訪れ、宿泊数は3億6400万泊(+5%)、消費額も約17%増となりましたcbre.com。ホテルの平均稼働率は約68%。2026年までに新規ホテルは約250軒(1万7000室超)が開業予定で、うち4分の1が5つ星の高級ホテル、マラガ・マドリード・カナリア・カディスなどに集中していますcbre.com。こうした好調を反映し、ホテル投資額は2024年に32億2000万ユーロ(全商業用不動産投資の23%)に達しましたcbre.com。稼働率やRevPARなどの運営指標も2023年・コロナ前水準を上回りましたcbre.com。
高級市場 – ハイエンドセグメントは依然として活況です。コースタルや都市の高級住宅地(マルベーリャ、イビサ、マドリード、バルセロナ)では需要が非常に高い状態が続いています。特に、裕福なアメリカ人買い手が海外グループの中で最も高い㎡単価を支払っています reuters.com。非居住者買い手(取引の20%)は2024年後半に平均€2,362/㎡を支払っており、これは地元住民の€1,713と比べて高い金額です reuters.com。Lucas Foxの報告によれば、2024年の高級物件販売は急増し、ブランドレジデンスやプレミアムヴィラが「際立った」セグメントとなりました lucasfox.com。マドリード・ヌエボ・ノルテの新築住宅の62%以上は手ごろな価格帯になる予定ですが(一部政策の反映)、高級住宅も多数併設して建設が進んでいます(下記参照)。
賃貸市場(長期 vs 短期) – 2024年には長期賃貸料が急騰しました。Idealistaのデータによると全国賃貸指数は11.5%上昇(約€13.5/㎡に) globalpropertyguide.com。大都市の賃貸料は記録を更新:バルセロナ€23.4/㎡(+13.9%)、マドリード€20.7(+15.3%)、パルマ€17.2(+11.9%)、マラガ€15.1(+11.4%) globalpropertyguide.com。表面賃貸利回り(年間家賃/物件価格)は2025年第1四半期で全国平均約5.6%、前年同時期の約6.2%からやや下落 globalpropertyguide.com。都市ごとに差が大きく、バルセロナ平均約7.5%、バレンシア約6.2%、マドリードは価格が高いため約4.8% globalpropertyguide.com。住宅不足・低金利が続き、特に若手専門職や移民層の間で強い賃貸需要があります。
短期(観光)賃貸は、規制の試みにもかかわらず急増しています。Excelturの報告では、Airbnb型の供給は2022年から2024年の間に約25%増加し、ホテルなどの宿泊施設成長を上回っています reuters.com。主要都市では、マドリードの短期賃貸が+49%(現在観光ベッドの38%)、マラガが+36%(2年間で) reuters.com。この成長は、全国で推定約45万戸の住宅不足に拍車をかけています reuters.com。これを受け、規制は強化されており、2025年7月1日からは統一観光賃貸登録簿が必須となり、全ての短期賃貸物件はオンライン広告のため登録番号の表示が義務付けられます idealista.com。2025年4月3日からは、新規法規により建物内のバケーションレンタル設置には住民協議会の正式な承認(所有者の過半数の賛成)が必要となります ldrgroup.nl。一方、長期賃貸は2025年からインフレ連動ではなく、新たな「参照指数」(IRAV)で値上げ上限が計算式で定められます globalpropertyguide.com。
地域別市場の内訳
- マドリード: スペイン最大の市場(全販売の約12% globalpropertyguide.com)はひっ迫し高価です。2024年第4四半期のマドリード自治州の価格は前年比約9.4%上昇 caixabankresearch.com(全国でも上位)で、プライム賃貸料は15%急騰しました。新規開発(下記マドリード・ヌエボ・ノルテなど)により、住宅1万500戸とオフィス(100万㎡)の供給を予定 news.griclub.org news.griclub.org。投資も増加しており、オフィス・居住・ホテルへの投資は2025年第1四半期で約€13億 cbre.co.uk、マドリードは投資家の意向で世界第2位にランクされています(CBRE調査)。
- バルセロナ/カタルーニャ: 販売シェア約15.5%(2024年) globalpropertyguide.com。バルセロナの価格は2024年に約8%上昇、高級物件在庫は限定的です。新築住宅は希少で、海外投資家の関心が支えています。注目事業として、待望のバルセロナ・サグレラ鉄道ハブ(€20億規模、3.7kmの緑地)は2028年までに開業予定 en.wikipedia.orgで、開発用地が創出されます。2024年はオフィス賃貸や小売も加速 cbre.com cbre.com、経済のダイナミズムを反映しています。
- バレンシア州: 全国販売の16.3%を占め globalpropertyguide.com、市場は活況です。特にアリカンテ県(コスタ・ブランカ)は外国人比率が高く、2024年第4四半期は45%以上が外国人購入者 cottageproperties.es。都市部(バレンシア市・アリカンテ)は賃貸料上昇(2024年バレンシア市+12%) globalpropertyguide.com。インフラ整備(新規路面電車、港湾拡張)やテック産業の成長が需要を後押ししています。
- アンダルシア/コスタ・デル・ソル: アンダルシア州(販売19.6%)は国内トップ globalpropertyguide.com。コスタ・デル・ソル(マラガ県)は外国人に人気で、英国人・スカンジナビア人などの購入で賃貸料や販売も上昇中(マラガ市賃貸2024年+11.4% globalpropertyguide.com)。内陸都市(セビリア、グラナダ)も価格上昇で関心増。公共資金も新メトロ路線や空港拡張に投入され、アクセス向上中。
- バレアレス諸島: 観光と外国人所有が主導です。マヨルカ/イビサでの購入者の約1/3が外国人 globalpropertyguide.com。2024年はバレアレスのみ販売がやや減少(-3.8%) globalpropertyguide.com、高級市場の飽和も一因。ただし賃貸料はスペイン最高水準(パルマ€17.2/㎡、イビサはさらに高額) globalpropertyguide.com。再生可能エネルギー規制やセカンドハウス課税(議論中)が今後の需要に影響し得ます。
- カナリア諸島: 適度な成長(2024年販売+4.6%) globalpropertyguide.com。観光需要がテネリフェ、グラン・カナリア、ランサローテで旺盛です。外国人買い手(特に北欧)が取引の20〜25%を占め、現地は価格が低めなため表面利回りも高め(約5〜6%)。
価格動向および予測
全国の住宅価格は2024年に約5〜8%上昇しました。公式データ(MIVAH)では前年比+5.8% caixabankresearch.com、公証人指数では2024年+8.4%を記録 caixabankresearch.com。主要地域の伸びは二桁で、バレアレス諸島+12.1%(2024年第4四半期)、マドリード+9.4% caixabankresearch.com。北部地方の下位市場はさらに早く伸びており(西部/北部県は第4四半期で11〜15%アップ、Caixabank指摘)、買い手の“お得感”探しが背景にあります。
今後を見据えると、機関予測は前向きです。CaixaBankは2025年の名目価格成長率を約5.9%、供給が追いつき始めると2026年には約3.0%に緩やかになると予測しています caixabankresearch.com。Solviaは2025年に約+5%の価格上昇を見込んでいます idealista.com。ECB政策の緩和により、住宅ローンの信用供給は豊富なままと予想され、銀行はさらに貸出コストを引き下げる可能性があります。2030年までには、専門家らは物価の上昇ペースが緩やかになるとし(2020年から見て実質価格が約2倍)、IMFは人口増加率を年間+1.2%と見込むなど、供給不足と人口増がこれらの予測を支えています caixabankresearch.com。
需要と供給のダイナミクス
需要: 国内外の買い手の双方によって支えられています。人口と労働力(移民含む)の継続的増加が新たな世帯を生み出しています。雇用はコロナ前の水準近くにあり、賃金も上昇し購買力を支えています。最近のデータは潜在需要の存在を示しており、Solviaは高金利により2022〜23年に購入を控えた買主が今戻ってきていると指摘しています idealista.com。国外からの関心も急上昇しており、2024年前半には外国人が約69,400戸(全売買の20.4%)を購入しました idealista.com。英国人が最大のグループですが、アメリカ人(5年前の2倍)やモロッコ人の動きも特に活発です reuters.com。
供給: 歴史的にタイトです。新築着工数は増加していますが、依然として低い水準からの出発であり、2024年を通して建築許可数は約16%増(1月〜10月で10.7万件)となりました cottageproperties.esが、全体として計画申請数は2019年以前の水準に達していません lucasfox.com。大都市(マドリード、バルセロナ)では土地不足が深刻です。住宅ストックは高齢化しており、スペインの住宅のうち5年未満のものはわずか約5%です。このアンバランス、すなわち需要増加と新供給の制限とが価格上昇の主因となっています caixabankresearch.com。
もし供給が急増すれば(例:2025年に許可数が13.5万件以上に到達 caixabankresearch.com)、上昇率は抑制される可能性があります。しかし現状では、ほぼすべての専門家が供給の制約により数年間はタイトな市場が続くと一致しています。賃貸市場でも空室率が非常に低く(都市部で約2〜3%)、急激な家賃の上昇を招いています。
法制・規制の動向
最近の政策変更は市場に大きな影響を与えています:
- 住宅賃貸: 住宅権利法(Ley 12/2023)により、2025年1月から新たな参照家賃指数(IRAV)が導入されました globalpropertyguide.com。IRAVは、物価上昇率(CPI)、基礎インフレ率、または固定平均レートのいずれか低い方で年間家賃上昇を制限し、従来のインフレ連動増額制度に代わるものです globalpropertyguide.com。2024年からは暫定的に2〜3%の上限が設けられていましたが、IRAVは2023年5月以降の新契約に適用されます。これは家賃の安定化を目的としており(スペイン人の30%が賃貸居住)、高騰する住居費から国民を守る狙いがあります globalpropertyguide.com。
- 観光賃貸: 2025年4月3日からスペインは民泊規制を刷新しました。区分所有法により、建物のコミュニティの明示的な同意(5分の3以上)が短期賃貸運営の条件となりました ldrgroup.nl。許可がなければ短期賃貸は不可です。2025年7月からはEU新規制が適用され、全ての短期賃貸住宅が国の登録簿(Registro Único)に登録され、ネット広告には登録番号の表示が義務化されます idealista.com。これらは長期賃貸への転用促進と違法賃貸の抑制が狙いです。
- ゴールデンビザ: スペインは2025年4月3日付で不動産ゴールデンビザ制度を廃止しました globalpropertyguide.com。従来は50万ユーロ以上の不動産取得で居住許可を得られ(2019年に不動産経由で約681件が発給 globalpropertyguide.com)、都市部価格の押し上げが理由とされました globalpropertyguide.com。既存申請者の許可は維持されますが、新たな不動産投資での取得は不可となり、一部の高級/複合開発への影響が見込まれるものの、英語圏やEU域内の買い手は引き続き活発です。
- その他施策: 空き家税や手頃な住宅のための市町村インセンティブなどが検討されていますが、大規模な新税導入はまだありません。住宅ローン審査基準(ローン・トゥ・バリュー等)は欧州平均で見ても穏やかです。全体として、規制動向はテナント保護と投資家への配慮のバランスをとっています。
外国投資の現状
スペインは引き続き世界中の資本を引きつけています。2024年第1四半期の不動産投資総額は33億ユーロ(前年比+39%)で cbre.co.uk、欧州平均を大きく上回りました。マドリードとバルセロナは国際投資家にとってトップ5都市の一つで、個人による住宅購入や企業による収益物件取得が急増しています。実際2024年には外国人(居住者・非居住者)が全住宅の約5分の1を購入しました idealista.com。機関投資家(ファンド、REIT、富裕層)は賃貸住宅、学生用住居、小売、物流、観光と幅広く展開しています。中でも外国人購入者はプレミアムを支払っており、2024年末の非居住者による平均購入価格はスペイン人の約38%上回る水準でした reuters.com。
スペインへのFDI(経済全体)は2024年前半で約209億ドルとなり santandertrade.com、その多くがサービスや工業部門に流れる一方で、ホテル・オフィス・住宅への投資も目立ちます。現在FDIの最大の出資元は米国(流入の29%) santandertrade.comであり、米国人買い手は居住用不動産でも特に活発です reuters.com。ブレグジットで英国からの投資はやや減ったものの、EU内(ドイツ、フランス、北欧)からの投資は依然強いです。ゴールデンビザ廃止により、投資家は居住権より運用益志向の資産に軸足を移すと見られます。
住宅ローンと金融環境
スペインの銀行と借り手は変動する金利に適応しています。住宅ローン残高は歴史的な基準から見て低く(2024年にGDPの約31.3%、2008年前は60% globalpropertyguide.com)、クレジット成長の余地が生まれています。2024年には新規住宅ローン貸出が回復(+14.2%、617億ユーロ globalpropertyguide.com)し、2022~2023年の減少から反発しました。新規住宅ローン件数も急増(2024年に423,761件 globalpropertyguide.com)しています。
金利は低下傾向にあり、2024年半ばのピーク後、ECBは年末までに約3%まで利下げしました。スペインの新規住宅ローン平均金利は2025年2月時点で約2.87%と、前年の3.62%から低下 globalpropertyguide.com。ローンの約90%は変動型または短期固定のため、さらなる利下げの恩恵を受けます(CaixaBankは2026年にECB主要政策金利2%前後を予想 caixabankresearch.com)。借入コスト低下は購入需要や借換えを後押しします。一方、銀行側は依然として慎重姿勢であり、LTV(ローン対資産価値比率)は中庸(通常80%)、融資基準もバブル期より厳格です。
主要開発プロジェクト
複数の大規模プロジェクトが今後の市場を形作ります。象徴的なのはマドリード・ヌエボ・ノルテ(MNN)。チャマルティン駅北側の3.4km²(建築可能面積260万㎡)の複合都市開発です。MNNではおよそ10,500戸の住宅(うち38%がアフォーダブル、62%は高級)のほか、100万㎡のオフィス街 news.griclub.org news.griclub.org、さらに40万㎡の公園(中央公園は13ha)も整備されます news.griclub.org。MNNは約35万人の雇用創出、25年間でGDPに152億ユーロの付加価値をもたらす見通しです news.griclub.org。
大規模都市プロジェクト例:マドリード・ヌエボ・ノルテ(上のイメージ)では10,500戸の住宅、160万㎡のオフィス、大規模緑地が整備されます news.griclub.org news.griclub.org。
他都市でも独自プロジェクトが進行中です。バルセロナのサグレラ駅は建設中(約20億ユーロ)で、2028年開業予定 en.wikipedia.org。同駅一帯は線路の地下化と、その上の3.7km 線形公園の整備を含み en.wikipedia.org、住居やオフィス用地が生まれます。バレンシアでは旧河床や港湾(芸術科学都市の拡張、パルケ・セントラル)の開発計画で新住宅地が創出予定です。また、サラゴサのマグダレーナ広場は旧川中島にオフィスやホテルを新設する大型プロジェクト。バルセロナの22@テクノロジーディストリクトや22@セクター拡張も続き、元工業地帯の複合用途転換が進んでいます。
観光分野では大規模リゾートやコンベンションセンター建設も進行中です。例としてマラガのFICOフェアグラウンド(欧州最大のイベント施設)は2023年開業、マドリードのプラサ・マヨールIIも拡張中です。バレアレス諸島やカナリア諸島では高級リゾートやセカンドハウス開発(多くは外国資本)が進んでいます。
専門家による予測(2025~2030年)
機関系レポートは2025~26年までの継続的成長、その後の緩やかな減速で一致しています。CaixaBank(2025年2月)は2025年住宅販売件数を約65万件(2024年は約64.2万件) caixabankresearch.com、価格は約5.9%上昇 (MIVAH指数) caixabankresearch.comと予想、それ以降は取引数62万件、価格上昇3.0%(2026年)など徐々に減速すると見られます caixabankresearch.com caixabankresearch.com。Solviaも2025年販売3~4%増・住宅価格5%増を見込んでいます idealista.com idealista.com。潜在需要や外国人バイヤーが根強いと指摘されています。
2020年代後半はマクロ経済動向次第です。金利低位と建設増が続けば、価格上昇率は2~3%台に減速する可能性があります。IMFやOECDは2030年までスペインGDP成長率を年間2~2.5%と予測し、不動産需要の基盤となります。一方、再び金利が急騰すれば一時的に市場が冷え込むリスクも残ります。総じて大きなバブルは否定的見通しで、スペインの住宅供給は依然不足しています。2025年対比で2030年の住宅価格は名目で20~30%高くなる可能性があります(大規模ショックがない場合)。
リスクと機会
リスク: 価格の手ごろ感低下が最大の懸念です。スペイン主要都市で価格所得比は2007年水準に戻り、「負担率」(住宅ローン返済対所得)は約35% cbre.com と、EUでも高い部類です。スペイン中央銀行は住宅ギャップ(約45万戸不足)を警告 reuters.com。家賃・価格の急騰継続は社会的不満や規制強化を招く恐れがあります。実際、賃貸規制強化の動きが見られます。 規制リスク:さらなる家賃統制やセカンドハウス課税は投資家を萎縮させかねません。ゴールデンビザ(投資ビザ)廃止も一例で、同様の措置が高級市場に影響します。 金利リスク:世界的に急激な利上げが進んだ場合、住宅ローンコスト上昇で需要減少の可能性。 観光変動:観光依存度の高い市場のため、来訪者減(例: パンデミック再発)は短期賃貸やホテルに打撃となります。
機会: 一方、根本的な強みは依然明確です。スペインは他のEU諸国に比べ高い利回り(アパート賃貸は年5~7%台)を実現 globalpropertyguide.com、国債利回り(1%台)を大きく上回ります。低調な調達コストでデベロッパーは十分な利益が得られます。賃貸市場も拡大中で、機関投資家のビルド・トゥ・レントや学生・高齢者用住宅にも資本が集まります。MNN等大規模都市開発は長期的価値を生み、現代的住宅供給の活性化につながります。北米・北欧・中南米からの多様な外国人需要や、ライフスタイル・為替の優位性も背景です。EUのグリーン建築インセンティブも省エネ住宅の新築・改修を促進し、活発な市場が維持されます。全体として、慎重な投資家にとってスペインは持続的成長、賃貸需要の高さ、新世代型の住居・複合開発など多様な機会に恵まれた市場です。
出典: 公式統計(INE)、業界レポート、専門家分析を含む筆者調査 globalpropertyguide.com caixabankresearch.com globalpropertyguide.com globalpropertyguide.com cbre.co.uk reuters.com idealista.com cbre.com cbre.com cbre.com caixabankresearch.com。